2021年4月19日月曜日

課税基準引き下げと消費税増税で高齢者は多重負担 ~ 道「介護保険料の負担軽減は課題」

 介護保険は2000年に「介護の社会化」をうたって、家族介護を軽減しサービスを選択ができるという希望を抱かせて開始されてから早21年が経過しました。公的介護サービスを利用できる環境というのは整いつつも、負担の増大が限界を超えている状況が懸念されている。給付抑制によって必要な介護利用も受けられず、老々介護やヤングケアラーなど家庭介護の負担が増大し、事業所の経営困難、人手不足と低賃金など課題が山積しています。

 第8期介護保険料は、月額5693円、1.3%増になりました。2000年発足当時の3,111円から1.8倍です。一方、75歳以上の第1号被保険者の所得は、世帯または本人が非課税を合わせて導入時74.5%が、2019年度は63.7%と10.8%の減少となっています。

真下紀子議員は、2006年からの税制改定による老年者控除48万円の廃止、65歳以上の125万円以下の住民税非課税が廃止、公的年金控除も廃止で、収入は変わらないのに課税対象にされたからだと強調しました。その上、消費税の10%への増税、マイクロ経済スライドによる年金引き下げで、収入が減少している高齢者の生活実態を示し、そもそも非課税なのに預金から天引きして生計費を削る介護保険制度の非情さを告発しました。

 

世帯非課税

本人非課税

合計10.8%減

8期計画

42.3%

21.4%

63.7%

200年当初

39.6%

34.9%

74.5%

保険料負担割合は、当初に比べ第7期で、75歳以上の第1号被保険者は17%から23%へ、40歳から64歳までの第2号被保険者は33%から27%へ、6%が高齢者へ移譲されました。しかし、国の負担割合は増やしていません。

令和元年度分給付費

第1号被保険者

997億8,100万円

第2号被保険者

1,171億3,400万円

国(調整交付金含む)

1,060億9,600万円

629億5,000万円

市町村

478億6,800万円

 介護保険の利用は約307万人に増加し、施設利用から居宅支援利用にシフトしています。しかし、軽度認定者は市町村事業に移行され、介護保険対象の特養や老健に入所できず保険外の有料老人ホームやグループハウスに入居せざるを得ないなど、保険が利用できない制度となってきました。

 

利用者総数

地域密着型

居宅サービス

施設サービス

2006年度

1771,406

136525

7.7

1187,479

67.0

447,40225.3

2018年度

3077,080

611,546

19.9

1955,347

63.5

51187

16.6

 市町村が介護給付費準備基金を活用し、保険料を抑制した基金残額は146市町村で約337億円と道が答弁。真下議員は、高齢者は生計費を圧迫されるほどの多重負担となっていると告発し、基金は一層の保険料抑制に活用すべきと求めました。

また、「低所得者の保険料の負担軽減などが課題の一つ」と答弁した道に対し、真下議員は、「道が負担軽減策として求めた保険料の多段階設定は37にとどまり、社会福祉法人の利用者負担軽減も、法人任せ」と批判。「介護職員の確保に向けた職場環境の改善、経済的な心配がなく介護できるために、国や道が乗り出すべき」と迫りました。